旅の醍醐味は何か、と聞かれたら、「出会い」だとよく答えている。その意味では、今回は本当に恵まれた旅だった。デンマーク・ボーゲンセの日欧文化学院のみなさん。そして、先生はじめ、一緒に旅行をした学生たち。誰もから本当にいろいろと学ばせていただいた。
 デンマークで日本人が運営する学院は、共生という言葉があてはまる、面白い場所だった。いつだって、新しい世界と「出会う」のは、ドキドキする、わくわくする。
今回の研修は皆、就職活動と同時進行。それでも、自分に足りない何かを摑みたい、という仲間が来ていた。昼間は、どこまでも歩き回り、夜はESや履歴書に向きあう。
溢れ出すくらい強い感情を持っている子もいた。人づきあいが苦手だといいつつ、熱い心で話しかけてきてくれた。そういう仲間との「出会い」の場でもあった。
そして、この旅最後の目的は、自分と「出会う」こと。自分の中の自分と向き合うこと。私はそれを、最後の夜に夜通しやった。自身になんで?どうして?と問いかけて、朝が明ける頃に、多分、5%くらいだけ、前より少しだけ自分が見えた気がした。エントリーシートは、締切り3日前にケルン郊外の都市から国際宅急便で送った。
慣れない、言葉も上手く通じない国で一人で目的を果たす。全然簡単じゃない。頭はいつだってフル回転だし、失敗だって重ねる。でも、厳しい時や大変な時の思い出は、不思議と思い出に残る。迷ったときに助けてくれたおばさんも、切符を買い忘れたときに見逃してくれた駅員さんも、一緒に思い出に残る。人が入ってくると、何倍も思い出は濃くなる。そしてそれが、成長の糧になる。
 だから、旅はやめられない。まだ見ぬ誰がとの出会いが、世界のどこかで待っている。 (2010早春参加、NHK内定・女性・大学院2年生)