「棚から牡丹餅(ぼたもち)」という言葉がある。努力することなしに予期しない幸運が舞い込んでくるという意味だ。私の場合まさにそれで、また棚が多いこともあり幾つかの牡丹餅が落ちてきた。しかしうまいこと手にしたものはそのうちの1つ、他は床に落ちて駄目になった。

この駄文から読み取って欲しいこと、それは「棚を増やす」こと、そして「牡丹餅を上手にキャッチする」ことの大切さだ。「棚を増やす」というのは単に受験企業数を増やすというのではなく、常日頃からあらゆる事物に関わって行くこと。その中で知識や人との繋がりを増やしていくことはもちろん、“何が何でも今を楽しむ!”という前向きの勢いを帯びれば、落ちてくる牡丹餅の数も自ずと増えるだろう。「笑う角には福来る」ではないが、最終面接で出てくる年を召された方々は“何かやってくれそう!”という勢いに釣られて来る。「牡丹餅を上手にキャッチする」とは相手が何を求めているかを瞬時に把握し、それに合わせるということ。会社によって好まれる人間像を演出することはもちろん、その場その場の面接での面接官の様子に合わせた面接の流れを作る必要がある。

牡丹餅とは「うるち米ともち米を混ぜて炊き、米粒が残る程度について小ぶりの俵状にまるめ、餡をまぶした食べ物」だ。内定に置き換えれば、「体験的知識とコミュ力が渾然一体となり、体験的知識が仄かに滲み出る程度にして謙虚さで丸め、元気と明るさで仕上げた人」だ。爽やかさとは無縁の小生であるが、一応内定が出たのでそういうことになっている。少なくとも面接時には前記の演出を心掛けた。不謹慎な言い方だが、目の前の一人騙せずしてどう情報戦を戦い抜くのかということだ。ただ、マニュアルや小手先の演出ではなく、深みのある本物の演出力を、塾を通して学んで欲しい。中身は付いてくる。牡丹餅もいつか、きっといつか食べられる。